今まで特定技能所属機関に求められる要件、特定技能雇用契約内容の基準について解説してきました。
しかし、特定技能制度では、それらの要件だけでなく、「雇用開始した後に適切に在留できるようにするための義務(=適正な在留に資するために必要な事項)」も定められています。これらも入管への申請時にも確認されます。
今回は「外国人の適正な在留に資するために必要な事項」について解説していきます。

1つ1つ一緒に見ていきましょう!
参考に今までの記事です。
特定技能所属機関に求められる要件について
特定技能雇用契約内容の基準に関して
基準1:帰国担保措置(帰国のための旅費と円滑な出国)
特定技能外国人が退職し、転職しないで特定技能としての活動を終了する場合や、特定技能1号の方が通算5年に達したために以降特定技能1号としての在留ができない場合等に、円滑に帰国できるための措置を特定技能所属機関に求めるものです。
原則:旅費は外国人本人が負担
帰国の際の旅費は、原則は特定技能外国人本人の負担です。
例外:本人が払えないときは、特定技能所属機関が負担
しかし、帰国のための旅費を特定技能外国人が払えないときは、特定技能所属機関が負担しなければなりません。これは、帰国することになった原因を問わず義務があります(行方不明になった場合は除く)。
注意! 帰国旅費を報酬から徴収するのはNG
旅費を確保するために、あらかじめ特定技能外国人の報酬から徴収して積み立てておくことは、金銭その他の財産の管理に当たる可能性があるため、認められていません。
出国が円滑になされるよう必要な措置を講じなければならない
これは単に帰国費用を負担するだけでなく、特定技能外国人が確実に出国できるよう、航空券の手配や出国までの生活支援などを含めた実務的な対応全体を指します。
支援計画と内容が重なる部分もありますが、帰国担保措置は「契約終了時における企業の責任」として別個に求められる点に注意が必要です。
基準2:健康状況その他の生活状況把握のための必要な措置
健康診断の実施
労働安全衛生法に定められている雇入れ時健康診断や、雇用中の定期健康診断を適切に実施すること、定期的に健康面で問題ないかを聞き取りして確認します。
その他の生活状況把握のための必要な措置とは?
たとえば、緊急連絡網を整備したり定期面談において生活上困っていることはないか、トラブルに巻き込まれたりしてないかを確認することです。
これは、1号特定技能外国人の場合は、支援計画に基づく支援内容とともに実施してかまわない、とされています。
基準3:分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの
特定技能のそれぞれの産業分野において分野により定められた基準がある場合があります。
(2026年4月19日現在、「適正な在留に資する要件」に関して分野に特有の事情に鑑みて定められた基準は確認しておりません。)
まとめ
特定技能制度におけるこれらの義務は、一見すると負担が増えるように感じられるかもしれません。しかし、帰国費用の確保や定期的な健康状態の把握を適切に行うことは、失踪や体調不良による離職といったリスクを最小限に抑えることにもつながります。
特に、帰国旅費の積み立てを報酬から控除することは、良かれと思ってのことであっても法令違反となるため、細心の注意が必要です。制度の趣旨を正しく理解し、外国人社員が安心して働ける環境を整えることは、結果として企業の社会的信用の向上と、貴重な戦力の定着に資すると思います。
また、各産業分野によって個別の追加ルールが設定されている場合もあります。自社のケースで不明な点がある場合は、専門家への相談も検討しながら、確実な運用を目指していきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました!


