前回の記事では「特定技能所属機関が満たすべき要件」について解説しました。
この要件を満たしていれば、特定技能外国人を雇用することができますが・・・
その「雇用契約」そのものにも基準を満たしている必要があります。
今回は、その基準について実務目線のお話も入れつつ解説していきます。

基準を満たし、雇用主側も特定技能外国人側も納得して進められる雇用条件にしたいですね!
基準1:従事させる業務(分野・技能水準の適合性)
受け入れ可能な産業分野・区分
特定技能外国人に従事させる業務内容は、定められている産業分野と業務区分に適合している必要があります。2026年3月25日現在では、特定技能1号は「介護」「ビルクリーニング」「工業製品製造業」「建設」「造船・船用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「自動車運送業」「鉄道」「農業」「漁業」「飲食料製品製造業」「外食業」「林業」「木材産業」の16分野、特定技能2号は上記から「介護」「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」を抜いた11分野での受け入れが可能です。
また、産業分野の中でもさらに業務区分に分けられます。例えば、「建設」分野の中でも「土木」「建築」の業務区分に別れます。

補足として・・・
特定技能1号・2号ともに受け入れ可能な分野の中でも、1号は受入可能ですが2号は受入できない業務区分もあります。
例えば、「工業製品製造業」分野は特定技能1号・2号の受け入れが可能です。その中で、業務区分「コンクリート製品製造業」は特定技能1号の受け入れは可能ですが、2026年3月25日現在、特定技能2号の受け入れをすることはできません。
ちょっと複雑なので、特定技能2号を見据えて特定技能1号外国人を受け入れたい方は、確認をしてから準備した方がいいと思います。
従事させる業務について、適合する技能を特定技能外国人が持っているか
まず、分野や区分に共通する、特定技能外国人が持っているべき技能水準は以下の通りです。
- 特定技能1号
相当程度の知識若しくは経験を必要とする技能
を有していることです。その技能を有していている証明として、特定技能1号技能評価試験や、技能実習を有効に修了することの証明(技能検定の実技試験3級や専門級の合格証等)、分野によっては日本語能力試験の合格証が必要になります。具体的にどのような試験に合格している必要があるかは、分野により異なります。
- 特定技能2号
熟練した技能
を有していることです。その技能を有している証明として、特定技能2号評価試験や、技能検定1級等の合格証が必要になります。分野によっては日本語能力試験の合格証も必要になります。特定技能1号と同じく、具体的にどのような試験に合格している必要があるかは、分野により異なります。
基準2:所定労働時間(「フルタイム」の定義に注意)
特定技能外国人の所定労働時間は、特定技能所属機関にいわゆるフルタイムとして雇用されている日本偉人と同等である必要があります。
※ここでいうフルタイムとは・・・
原則として、週5日以上勤務かつ年間217日以上であり、週の労働時間が30時間以上であることです。
基準3:報酬の決定(日本人と同等以上であることの証明)
特定技能外国人に支払う報酬は、同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬額である必要があります。
また、特定技能外国人の報酬と比較して日本人労働者が不当に安い賃金を支払うこともできません。
入管への申請時に特定技能外国人を受け入れていない所属機関の場合、日本従業員と同等以上の報酬額であることの説明をすることになります。
基準4:差別的取り扱いの禁止(教育訓練・福利厚生も対象)
外国人であることを理由に、教育訓練の実施や福利厚生施設(社宅や診療施設、保養所、体育館等)の利用等について、差別的な取り扱いをすることはできません。
基準5:一時帰国のための有給休暇(配慮が求められる運用)
これは特定技能所属機関として配慮を求めるという要件です。
雇用している特定技能外国人から「本国に一時帰国したい」という申し出があった際は、業務上やむを得ない場合を除き※1、有給休暇※2を取得できるよう配慮してください、というものです。
有給休暇を取得したことを理由として、特定技能外国人にとって不利益な扱いをすると、この基準に適合したと言えなくなる可能性があります。
また、特定技能外国人本人の一時帰国だけでなく、本人のご家族が日本に来たので有給休暇を希望した際についても同様です。
※1 業務上やむを得ない場合・・・その特定技能外国人でなければ対応できない業務があり、かつ、その業務を帰国予定日に行う必要がある合理的な理由がある場合
※2 有給休暇をすべて消化してしまった後でも、特定技能外国人が希望したら追加の有給休暇の取得や、無給休暇が取得できるような配慮が必要です。
基準6:派遣形態の制限(農業分野・漁業分野のみ)
これは、現在派遣形態が認められている「農業」「漁業」分野でのみの基準です。
特定技能外国人を派遣労働者として雇用・派遣する場合は、その特定技能外国人の派遣先と派遣する期間が定められている必要があります。
基準7:分野により異なる基準
これは、分野ごとの事情に応じて定められた基準です。
例えば、「工業製品製造業分野」であれば、従事させる事業所は日本産業分類のうち特定のものを行っていること、というものがあります。
分野ごとに異なり、また定めていない分野もあります。
まとめ:適切な契約締結が「適正な在留」の第一歩
いかがでしたか?
特定技能の雇用契約は、単に労働基準法を守るだけでなく、日本人と同等以上の待遇を確保し、差別的な取扱いを排除すること等の、特定技能に特有の基準があります。
特に報酬の設定や一時帰国の配慮については、特定技能外国人を初めて受け入れる際はピンと来にくいポイントと思います。
これから契約書や雇用条件書を作成される際は、特定技能外国人本人が十分に理解できる言語で作成・説明を行うようにしてください 。

雇用条件について理解し、雇用主も特定技能外国人もお互い納得の上就労したいですね。
ご覧いただきありがとうございました!

